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コラム
ここでは、サッカーに関連する様々な問題・話題について、当委員会のメンバーが学術的な視点からサポーターとしての視点まで幅広く投稿していきます。 
定期的に更新しますのでご期待ください。
 
                                                      
第1回:日焼けについて
記念すべき第1回コラムは、日焼けについてです。
屋外スポーツに日焼けはつきものですね。真っ黒に日焼けした肌は健康の証!なんてこと信じて疑わない方はまだまだ多いのではないでしょうか?
でも実はそれは大きな間違いなのです!さあ、知っているようで実はよく知らない日焼けについて、原因となる紫外線の話から日焼けの予防法まで皮膚科専門医の西本先生にわかりやすく丁寧な解説をいただきました。


# 今なぜ紫外線?

ひところ街頭のポスターをにぎわした、よく日に焼けた水着姿の女性が姿を消し、代わりに日焼け止めの宣伝がはばをきかせています。夏休みの“黒んぼう大会”も姿を消しました。なぜ日焼けはいけないことになったのでしょうか?日焼けをするとどんなことが起こるのでしょうか。

 

# 日光は体に悪い? −発ガンと光老化 

 日焼けは、太陽の光の中に含まれる紫外線によって起こる皮膚の変化です。  太陽の光が、体に良いことだけでなく、その中の紫外線が逆に害になる場合もあることが詳しく分かってきたのです。一つは紫外線による皮膚癌の増加であり、あとの一つが皮膚の老化です。ただしこのようなことが起こるのは、ずっとあと、数年あるいは数十年後です。人が一生に浴びる紫外線量の半分は子供の頃に浴びてしまうと言われています。そのために特に若い人を紫外線から守ろうという動きが活発になってきました。

 

# 紫外線とは? −UVA,UVB,UVC

  紫外線とは目に見える光(可視光線)より短い波長を持つ光線で、さらに波長によって、長い方からA,B,Cにわけられています。目に見えない光なので予防には少し注意が必要です。簡単にいえばUVAの作用は黒くなる日焼け、UVBは浴びた直後に起こる、赤くなる日焼けです。このようなことの繰り返しが将来の皮膚の変化につながるのです。UVCは地上に届く前に大気に吸収されてしまうためとくに問題にはなりません。

 

#人は紫外線に当たることも必要なのでは?

 太陽の光に当たることは楽しいし、骨の代謝にも紫外線は必要です。しかしわが国の平均的な生活では、必要な紫外線は日常生活の中で自然に受ける量で十分とされています。ことさらに日焼けするのは害の方が大きいのです。

 

# 紫外線が強いのはどんな時?

 紫外線の強い季節は初夏、67月がピーク。5月、8月も要注意。一番暑い時期と少しずれています。 

 一日のうちで強いのは午前10時から午後2時。この時間帯の屋外スポーツはとくに要注意。

 

# 日焼けを防ぐポイントは?

 紫外線の強い場所、時間帯での屋外活動をなるべく短くする。帽子、長い袖、高い襟などで皮膚の露出をできるだけ避ける。サンスクリーン(日焼け止め)を使う。−などなど。子供の皮膚は大人が守るもの、の立場で。 

 

#サンスクリーンの正しい使い方は?

 サンスクリーンは記号によって遮光能力の強さが示されています。

  SPF (25,50などの数字で。大きい数字ほどUVBの遮光力が強い)

   PA(+,++,+++で。UVAに対する防御力が強い)  

 日常生活ではSPF 30 以下、PA++ 位で充分。SPF40以上は特殊な用途と考えること。サッカーなど長時間になるときは、むしろ3時間をめどに重ね塗りする方がよい。

 顔とともに頚、腕などの露出部をわすれないように。

   

                                   西本勝太郎(皮膚科専門医


第2回:救急救命処置~特にAED使用法について~
上記の内容で5月28日理学療法士を対象に講習会を行いました。

講習内容の要旨をアップしたいと思います。

(1)
BSL(Basic Life Support) 一次救命処置
 心肺停止状態のひとに対して行う処置のことです。
 
A: Airway:気道確保
 B: Breathing:人工呼吸
 C: Circulation:心臓マッサージ
 D: Defibrillation:除細動
(電気ショックを与え心臓のリズムを正常に戻すこと)
 上記のA~Dが基本になります。
 具体的には
 1)目の前で人が倒れた場合
 2)呼びかけ刺激し反応を見る
 3)反応なければ下顎挙上し呼吸の有無を確認(10秒以内に)
 4)呼吸していなければ人工呼吸(1秒かけて1回を計2回)
 5)心臓マッサージ開始(
1分間に100回のペースで行う)
 *
心臓マッサージ30回に人工呼吸2回を1サイクルとして繰り返す。
 **人数がいれば交代しながら心臓マッサージを行う。
 ***AEDが到着、救急隊が到着、患者さんが動き出した、以上が見られるまで続ける。
 ****
人工呼吸がためらわれるときは心臓マッサージだけでもよい。

(2)AEDとは
 心室細動という致死的な不整脈がおきたとき、電気ショックを与え心臓のポンプ作用を正常のリズムにもどす医療器械です。
 *
2004年7月より医療従事者でない一般の方も使用できるようになりました。
  
 (使用時の注意点)
 ・
器械の音声に従うこと!
 
*2000年ガイドライン対応の機種と2005年ガイドライン対応の機種では流れが異なります。
  器械の音声を無視してやろうとすると正常な解析が行われず、一番重要な除細動が行われなくなります。


 ・パッドの貼り付け方
 1)胸が汗や雨で濡れている場合
  →パッドの貼り付ける場所をよくふいて貼り付けて下さい。
 2)ペースメーカーが埋め込まれている場合
  →埋め込み場所から3センチ以上離して貼り付け下さい。
 3)胸毛が濃い場合
  →体毛の薄い場所で心臓を挟み込むような張り方をして下さい。
 4)金属製のアクセサリーをしている場合
  →はずすかパッドの位置から遠ざけて下さい。
 
 ・パッドの選択
  
1歳から8歳未満までは小児用パッド、8歳以上は成人用パッドを使用して下さい。
 *もし成人用パッドしかなければ子供に成人用パッドを使用してください
 **しかし大人には絶対小児用パッドを使用しないでください(十分な電気刺激が行えません)。
 ***8歳以上は救急蘇生では成人扱いです。必ず成人用パッドを使用して下さい。


 
・乳児(1歳未満)にはAEDは使用できません。

 ・自分の生活圏内でどこにAEDがあるか確認してください。

 ・AEDは適応がないときは電気ショックをしません!使用してよくなることはあっても悪くなることは
  ありませんのでぜひ使用法をチェックして下さい。

**長崎県内のサッカー試合会場におけるAED設置状況

(平成22年10月現在)





                                               
 ( 文責 小無田 要)

               
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